ホットスポットとはどういう状態なのか?

太陽光発電所の運用において、発電量の低下や火災事故の引き金となる最も警戒すべきトラブルの一つが「ホットスポット」です。
ホットスポットとは、太陽光パネル(モジュール)の一部が異常発熱を起こす現象を指します。放置すればパネルのが焼損してしまったり、最悪の場合は大規模な火災へと発展する恐れがあります。
では、なぜ電気を作り出すはずのパネルが、自らを発熱させてしまうのでしょうか。
なぜ「影」が「発熱」に変わるのか?
ホットスポットが発生する根本的な原因は、パネルへの「局所的な影」と、太陽光電池(セル)の「直列接続」という構造に関係があります。

太陽光パネルの内部では、複数のセルが直列に繋がれて1つの回路を形成しています。直列回路の特性上、回路全体に流れる電流は「最も発電量の低いセル」に制限されてしまいます。
もし、1つのセルに落ち葉や汚れが付着して影ができ、そのセルの発電能力が極端に低下したとします。すると、他の正常なセルが発電した大きな電流が、発電能力の落ちた(電気抵抗が高くなった)セルに無理やり流れ込もうとします。
この時、影になって発電できなくなったセルは、電流を通すための「抵抗器」として働いてしまいます。電気エネルギーが抵抗を通過する際、エネルギーは「熱」へと変換されます。これが、影になった部分が局所的に異常発熱するメカニズムです。
下記の写真はモジュールの隙間から生えた植生の影によるホットスポットです。
このように、ただ植物の影になっているだけでも、放置しておくとセルの故障に繋がります。下記の赤外線画像に写った植生の影によるホットスポットは、問題がない部分の表面温度が40℃前後なのに対して100℃を超えています。


植物の影や汚れが原因の他、製造不良によるホットスポットも存在します。また、一部の海外製パネルにおいては著しく耐久性が低いものがあり、設置から数年で大量のホットスポットが発生してしまう場合もあります。

バイパスダイオードの役割と限界
通常、こうした直列接続の弱点を補うために、パネルには「バイパスダイオード」という保護回路が組み込まれています。これは、抵抗となったセルを迂回して電流を流す「バイパス(抜け道)」の役割を果たし、発熱を防ぐ仕組みです。
しかし、以下のような条件下ではバイパスダイオードが機能せず、ホットスポットが進行してしまいます。
- 継続的な影によるダイオードの故障:
長期間にわたってバイパス回路に負荷がかかり続けると、ダイオード自体が熱でショートし、機能不全に陥ります。 - 微細なクラック(ひび割れ):
表面からは見えないセル内部の断線やマイクロクラックは、バイパス回路で保護しきれない局所的な強い抵抗を生むことがあります。


早期発見にはドローンによる赤外線点検が不可欠

ホットスポットの恐ろしい点は、「初期段階では肉眼で発見することがほぼ不可能」という事実です。パネルの表面が黒く変色したり、バックシートが焦げたりする頃には、すでに手遅れの状態と言えます。
SKYAXISでは、高解像度の赤外線(サーモグラフィ)カメラを搭載した産業用ドローンを使用し、広大な太陽光発電所の上空からパネルの異常発熱を瞬時に特定します。ホットスポットを初期段階で発見し、適切なパネル交換や清掃の対処を行うことで、発電ロスを最小限に抑え、重大な火災事故を未然に防ぐことが可能です。